「青色を防犯のシンボル」とした活動が広がっています。
更新日:2012/05/11
青色回転灯を装備した「青色防犯パトロールカー(通称:青パト)」や、「青色防犯灯」など青色を防犯のシンボルカラーにした「青色防犯」の取り組みをご紹介します。
スコットランドの事例として青色街灯が紹介されたことがきっかけです。
5年ほど前、あるテレビ番組で〝お金をかけずに街から犯罪が消える〟事例として「スコットランド・グラスゴー市ブキャナン通りでオレンジ色だった街灯を青色に変えたところ、犯罪が減少した」と紹介されました。これがきっかけとなり、日本でも「青色防犯」という新しい自主防犯活動が起こりました。主な青色防犯活動として、青色を用いた設備があり、青色回転灯を装備した「青パト」や街路を照らす「青色防犯灯」をはじめ、警察の交通取締りや地域の防犯パトロールなどで使用する「青色誘導指示棒」などがあります。
ただし、青色街灯と犯罪減少との因果関係については、都市計画や犯罪心理研究者などの専門家が現地を訪れて調査したところ、グラスゴー市では街灯を変えただけではなく、行政と地域とが一体となって、まち並みの美化や監視カメラの機能向上といった防犯対策に総合的に取り組んでいたことがわかりました。
「青色」を防犯のシンボルカラーとした複合的な防犯活動を各地で推進。
日本で初めて青色防犯灯を取り入れたのは、奈良県でした。テレビ番組でグラスゴー市の青色街灯が紹介される約半年前に、子どもが殺害されるという凶悪犯罪が発生した奈良県では、これ以上犯罪を起こさせたくないという強い思いから奈良県警の協力のもと、「地域安全安心ステーション」モデル事業の指定地区である奈良市の秋篠台住宅に「青色防犯灯」を設置しました。その後、全国の自治体や地域団体でも青色防犯灯が設置されました。
たしかに、各地の防犯担当者や住民へのアンケート調査では、「青色防犯灯を設置した結果、夜間に安心して歩けそう、防犯効果が期待できる」などという意見が多数聞かれました。ただし、その背景には、青色防犯灯を設置した地域は、もともと防犯意識の高い地域で、犯罪そのものが少なく、以前から活発な防犯活動が行われていたことがありました。
また、血圧や心拍数などを測定し、光の色が心と体にどのように影響を与えるかという実験では、「青色の光が何らかの影響を与え、その結果犯罪が減る」という因果関係は明らかにはなりませんでした。
更に青色の光に対する印象についても「気持ちが落ち着く」といった肯定的な意見もありますが「うす暗く感じる」「気分が悪くなる」といった意見もあり、防犯灯を白色から青色に替えただけで、〝犯罪が減る〟という単純なものではないということです。
しかし、地域の防犯担当者からは「住民の防犯意識が高くなった」という声も多数聞かれ、青色防犯灯の設置をきっかけに「青色」を防犯のシンボルカラーとして防犯活動が活性化し、「青色=防犯カラー」という認識も一般に広まってきています。
個々の家庭だけの防犯から、地域ぐるみの防犯へ。
防犯灯の役割は、〝夜間の街路を明るく照らし、見通しをよくすること〟です。ですから、青色の光でも、一般的に使われている白色の光でも、〝前方から歩いてくる人の顔が確認できるくらい〟の明るさを確保することが大切です。先に紹介したグラスゴー市で使われていた青色街灯は日本で使われている青色ランプの10倍以上の明るい光でした。
つまり、防犯の大きなポイントは「明るさ」にあるということです。近年、地域の防犯活動として推進されている「一戸一灯運動」は、住宅の門灯・玄関灯などを終夜点灯して街路に人の気配を感じさせ、安全・安心のまちづくりを実現しようという取り組みです。
このような少しの協力と工夫で、各家庭の防犯から地域ぐるみの防犯活動へと発展させることができます。「青色防犯」がその牽引役として活用されることが期待されます。
●地域で行われている防犯活動
<警察との協働>
●交番との連携
<啓発活動>
●防犯を啓発する回覧や掲示
●防犯を啓発する防犯講座等の開催
<パトロール体制など>
●地域防犯パトロール
●青色防犯パトロールカーの巡回
●警備員や防犯指導員の配置
<防犯設備など>
●防犯カメラの設置
●センサーライトなどの防犯機器を個々の住宅に設置
●住宅の門灯・玄関灯などを終夜点灯する「一戸一灯運動」の推進
※本ページの内容は、関電SOS季刊誌「住まいring」Vol.15(2010年7月発刊)掲載の情報です。