正しい食生活を身につけること、それが「食育」の基本です。
更新日:2012/02/15
「食育」とは、「食」について自分で考え、自分で選び、
自分の健康を守る力を育むこと。
子どもだけでなく、大人にとっても大切な学びの一つです。
暮らしの中で伝えたい、日本の食生活と食の知恵。
「食育」という言葉は古くからあり、明治31(1898)年に発行された「食物養生法」という書物に「体育、知育、才育の基本は食育である」と記されています。約10年前から急速に「食育」という言葉が広がりはじめた背景には、手作りの食事を用意できない家庭が増えたことや、食生活の乱れによる生活習慣病などの増加が挙げられます。そのような社会的背景を受け、平成17年には食育基本法が制定され、学校をはじめ、自治体、企業などでも正しい食生活や栄養知識を身につけるための積極的な取り組みが行われるようになりました。
例えば一部の学校給食では、日本の伝統食や地域の特産物などが献立に取り入れられています。また、子ども自身が弁当を作る日を設けるなど、子どもが自ら考え、調理する能力を高める取り組みも行われています。
しかし、本来食の基本は家庭にあります。家族で買い物に行き、旬の食材を教えたり、野菜の皮むきなど、子どもにできることをさせることも大切なことです。家族揃って食卓を囲みながら、食材や調理法を話題にすることも「食育」の一つで、暮らしの中から自然に身につけるべき大切な学びです。
近頃は、一尾の魚や、泥のついた野菜など、収穫したままの姿の食材に触れる機会が減り、魚はもともと切り身の形だと思っている子どももいるそうです。大人でも、めんつゆは家庭で作るものではなく、しょう油のように買うものだと思っている人も昨今見受けられます。毎日の食事作りを通じて子どもに「食」の知識を教えるはずの親自身が、インスタント食品に慣れ親しんで育った世代となってきた現在、子どもと一緒に食について学び直す姿勢が必要でしょう。
あふれる食情報の中で、「正しく食べる」力を身につける。
現代は食べものに困ることはなくても、栄養バランスや食の安全性の問題など、「食の質」に関する様々な問題が起こっています。さらに、24時間営業のコンビニやファミリーレストランが増え、いつでも簡単に食事を取ることができます。そのため、私たちの身の回りは食そのものや、テレビや雑誌から発信される食に関する情報であふれかえっているのが現状です。現地に行かなくても入手できたり、めずらしいものが簡単に手に入ってしまう環境だからこそ、子どもだけでなく大人も、体や心を健康に保つために「何をどう食べるか」を考える力を身につけることが大切なのではないでしょうか。
※本ページの内容は、関電SOS季刊誌「住まいring」Vol.12(2009年7月発刊)掲載の情報です。