今年の冬は、温まる食事で健康生活。
更新日:2012/12/11
自然の力で体の冷えを改善する方法の一つに、食事があります。冷えだけでなく、健康維持のための生活習慣改善の一環としてもおすすめです。
冬は温かいものを食べて、5大栄養素をバランスよくとり、血行を促進させましょう。
冷えの主な原因は血行不良で、血管の少ない手足や腰の血液量が少なくなると、不快な冷えの症状が現れます。
全身の末梢神経まで血液を送り込み、血行を促進するには、まずは炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛など)の5大栄養素をバランスよくとることが基本です。中でも、血管を広げて血行を促進するビタミンE、全身に酸素を運ぶ鉄、鉄の吸収をサポートするビタミンCといった栄養素をとるように心掛けることが大切です。例えば、冬に旬を迎える野菜の中では、ビタミンEを多く含んだ大根の葉や、鉄分が豊富なほうれん草、ビタミンCを多く含むブロッコリーなどを料理にうまく取り入れるとよいでしょう。
体を温めるためには、常温より冷たいものを食べず、温かいもので物理的に胃腸を温めることも有効です。冷たいものは、胃腸の働きを弱めるので、温かいものを食べて胃腸をいたわりましょう。
また、年末年始などでの暴飲暴食は注意が必要です。暴飲暴食は胃だけに血液が集中して体を冷やしてしまいます。甘いものや脂肪のとり過ぎも血液中に糖分や中性脂肪が増えて血行が悪くなるので、注意しましょう。
しかし、食事に注意していても、運動不足などで筋肉量が減ると基礎代謝が落ち、体が温まりにくくなります。特に中高年の女性は筋力が落ちていく傾向にあるので、ウォーキング、ストレッチなどの無理のない運動を続けて筋力を維持することも大切です。
体を温める食材や調理方法を毎日の食事に取り入れましょう。
東洋医学には、食べ物の性質を利用して体のバランスを整える「食養生」の考え方があり、食べ物には体を温める「陽」の食材と「陰」の食材があるとされています。
「陽」の食材は、寒いところで採れたものや、冬に旬を迎えるものであり、「陰」の食材は、暑いところで採れたものや夏が旬のものです。しかし、この分類は、単純に二分化できるものではなく、手を加えると性質が逆転する場合もあり、例えば火を通したもの、発酵させたもの、干したものは「陽」の性質を持ちます。また、豆腐は「陰」の食材ですが、豆腐と同じ材料の大豆を発酵させたみそは「陽」の食材とされています。
冬の食生活では、体を温める「陽」の食材をとるように心掛けることが大切です。しかし、「陽」の食材ばかりになると栄養に偏りが出るので、「陰」の食材をとるときは次のような調理の工夫をします。
一つ目は、加熱して温かいうちに食べること。「陰」の食材の中でも熱帯地方が原産地のものや、夏が旬の食べ物は、厳しい暑さの中で育つため、自らの中に冷却力を備えていると考えられていますが、温めると冷却力はなくなります。例えば夏野菜のトマトは、冬は加熱してスープやシチューなどにするとよいでしょう。
二つ目は、「陰」の食材を調理する際に、「陽」の食材の中でも特に体を温めるとされている「しょうが」「とうがらし」「にんにく」「ねぎ」といった香味野菜や香辛料を使うことです。これらは血管を広げ、脂肪の燃焼を助けて体温を上げる働きがあります。また、肉、魚、野菜などのメインの素材の味を引き立てる効果もあります。
その他の注意点としては、野菜はあらゆる面で健康によいイメージがありますが、冬野菜でも生でたくさん食べると体を冷やすので、加熱して食べましょう。鍋物にすれば、野菜以外にも肉や魚など多くの種類の食材がとれて栄養のバランスもよく、体も芯から温まります。特に冬場、冷えを感じやすい人におすすめなのは、みそやキムチなどを使った鍋です。みそや漬物などの発酵食品に含まれる酵素には、消化を助けると共に腸の温度を上げて腸の機能を高める働きがあります。さらに、鍋の薬味に、「しょうが」や「とうがらし」「にんにく」「ねぎ」などを上手にとり入れるとよいでしょう。
「陽」の食材
根菜、いも類
●野菜類:牛肉、豚肉、羊肉、レバー、鶏肉
●肉類:まぐろ、さけ、かつお、うなぎ、さんま、
●魚介類:さば、ぶり、えび
●穀類・豆類:玄米、黒豆、小豆、納豆、みそ
●果物・木の実類:ざくろ、杏、さくらんぼ、桃、栗、くるみ、ぎんなん
●香辛料・油:しょうが、赤とうがらし、こしょう、わさび、山椒、大豆油、酢、酒、黒砂糖
「陰」の食材
●野菜類:レタス、ほうれん草、きゅうり
●肉類:馬肉
●魚介類:しじみ、はまぐり、あさり、かに
●穀類・豆類:小麦、豆腐、白いパン
●果物・木の実類:すいか、バナナ、キウイ
●香辛料・油:バター、マヨネーズ、ごま油、菜種油、精製塩、オイスターソース
※本ページの内容は、関電SOS季刊誌「住まいring」Vol.19(2011年7月発刊)掲載の情報です。